高次脳機能障害は、脳出血・脳梗塞・くも膜下出血などの頭部外傷、脳腫瘍の後遺症として発症することが多くあります。脳の全体的あるいは部分的な損傷にともなって発症します。その症状は脳損傷の程度によって様々ですが、次のような記憶、注意などの認知機能の障害があげられます。
記憶と学習の困難
古い記憶は残っているのに、新しいことが覚えにくい。 注意力・集中力の低下 気が散りやすく、疲れやすいために、1つの行動(課題)を長く続けることが難しくなる。
失認症
自分が見ていると意識している空間の片側を見落とす半側空間無視がある。
意欲障害
知的機能に障害はないが、自発的に行動を起こしにくい。
失行症
手足を動かすことはできるが、意図した動作や指示された動作が十分に行なえない。
失語症
他人に意思を伝えたり、他人の伝えてきたことを理解したりするのが難しい。
感情コントロールの低下
困難な状況になると、著しい不安などに陥り、感傷的な態度や攻撃的な態度を示すこともある。
職場では、「1つずつ手順を追うような確認作業は比較的できても、2つ以上の事柄に注意を向けたり、速度を求められたりするとミスが発生しやすい」「耐久性や集中力に欠け、作業にむらがでたり、仕上がりを気にせず、ていねいな作業ができない」ということがあります。
記憶に障害がみられる場合には、指示をメモにとること、メモを確認しながら仕事をすることを習慣化するとよいでしょう。表示プレートのように目印になるものを置くなど環境側を分かりやすく調整することも有効です。
効率よく作業が進められなかったり、混乱してしまったりする場合は、手順を明確にし、フローを図示して、手順書に沿って作業を進めることが大切です。
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