心臓機能障害は、不整脈、虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞)、心筋症などにより心臓の本来の働きが障害され、このため日常生活活動が制限されている状態です。
人工的電気刺激により心臓を興奮収縮させる心臓人工ペースメーカーを使用している場合、誤作動を防ぐため、高エネルギーの電磁波を発生する家庭電気製品、医療用機器、工業用機器の使用には注意が必要です。
いろいろな病気のために腎臓の働きが悪くなり、老廃物を排泄できなくなるのが腎臓機能障害です。腎機能が低下すると、人工透析療法や腎臓移植療法が必要となる場合があります。透析療法は失われた腎機能を代行し、血液を浄化する治療法ですが、腎機能すべてを代行するわけではありませんので、同時に食事療法、薬物療法が必要です。
かぜなどの感染症に罹患しやすいので、その予防を心がける必要があります。身体を冷気にさらさないような温暖な労働環境が望まれます。また、透析療法のための時間の確保が必要です。
人は呼吸により大気中の酸素を取り入れ、身体の各組織での化学的燃焼によって生じた炭酸ガスを体外に排出することで生命を維持しています。このガス交換の過程のどこかに障害が起こると、呼吸器の機能障害が起こります。呼吸の能力が低いので、職種は障害の程度によりますが、肉体的負担の少ない軽作業やデスクワークなどが向いています。
気管支粘膜が過敏になっていることが多いので、環境としては刺激ガスや温度(特に冷気)、乾燥に留意します。酸素療法を行っている場合は火気や室内の換気にも留意します。
膀胱や大腸の病気などが原因で、膀胱や直腸が機能低下または喪失したことによる障害です。そのため、排泄物を体外に出す排泄口「ストマ」を造設する人もいます。
病気の経過観察やストマ管理のために、定期的な通院が必要です。
食物の消化や吸収を行なう小腸機能の低下、喪失のため、通常ルートで栄養維持できない、あるいは困難な状態を小腸機能障害といいます。
高熱環境の職場、肉体労働主体の職場などでは発汗量も多いことから、電解質バランスの異常や脱水状態をきたしやすくなるので、避けたほうがよいでしょう。
HIVは、Human Immunodeficiency Virusの略で、日本語ではヒト免疫不全ウイルスといいます。HIVは、免疫の司令塔の役割を持つCD4陽性リンパ球に感染し、徐々に破壊します。CD4陽性リンパ球の数が減ると免疫機能が弱まり、いろいろな病気に罹患しやすくなります。
CD4陽性リンパ球数が低下することにより生じた免疫不全状態に日和見感染症(通常の免疫力があれば問題にならないような弱い病原体により病気が発症すること)を併発した状態をAIDS(エイズ)発症といいます。
近年、治療法は格段に進歩し、服薬や通院の回数も少なくて済むようになってきています。副作用や他の病気がある場合など、個別の事情によって頻度は異なりますが、服薬は1日に1~2回程度、通院は1~3ヶ月に1回程度です。
動物や様々な感染症患者との接触が多い職務は、本人の感染症への罹患が高まるため、注意する必要があります。
出血した場合には、HIVに限らず、血液を介して感染する病気があることに留意して、血液が粘膜や傷口に触れないように、使い捨てのビニール手袋やゴム手袋を着けます。また、出血した人をばい菌から守るためにきれいなタオルでくるむなど、「周囲が感染しないこと」だけでなく「出血した人を守ること」を考える必要もあります。
いずれも生命の維持に関わる重要な機能の障害です。臓器本来の働きを補助するために通院や治療機器の装着のほか、日常生活が制限される場合があります。また、疲れやすい傾向があり、ゆとりある勤務形態などの配慮が必要な場合があります。
なお、これらの障害に加え平成22年4月1日から、肝機能障害(代謝、解毒などの役割を担う肝臓が肝炎ウイルスなどにより機能低下した状態)についても、内部障害者の範囲に含まれることになりました。
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